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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第148号       ’02−08−02★

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     学ばない体質

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●やれやれ8月、

 

たださえ暑い。 そこへ恒例、<不戦>や<平和>の誓いが<新たに>

されたり、日の丸をなびかせた街宣車が軍国歌謡を轟かせて徘徊したり、、

するんでしょうな。 まことにご苦労なことです。 しかし不思議、

 

どうしてああも同じことを繰り返して飽きないのだろう? 半世紀以上

することに進歩が無く、当然、大した成果は挙がってない、、 挙がら

ないから続けている、、

 

もし<成果が挙がらない>(あるいは、ネガティブな成果を挙げる)の

を<失敗>と定義するなら、あの不毛の反復、<失敗に学ぶことが無い

体質>の表れとして考察すべきでしょう。

 

 

<街宣車>の方はややフツーでない少数派、ここでは脇に置くとします。

<平和>祈念派は一見フツー、彼ら自身自分たちが一番まともだと信じ

切っているようだし、<平和>も<良いこと>には違いない。

 

が、ボケるほど平和なこの国で、必然性も無く「戦争ハンターイ!」を

唱えるのは、、 惰性か、趣味か、体裁か? 真剣味無し。 あるいは、

 

「平和主義者が暴力を放棄できるのは、ほかの人間が、彼らに代わって

暴力を行使してくれるからだ」。(ジョージ・オーウェル/オーウェル

評論集/ナショナリズムについて) つまり、卑怯だから?

 

湾岸戦争やアルカイダ退治において我が国の貢献が評価ないし感謝され

なかったのは、初めから血を流すことを拒んでかかり、卑怯者視された

からだが、その<卑怯者>も、

 

<代わって><暴力を行使してくれる><ほかの人間>がいない場合は、

自ら立ち上がるほか無いだろう。 求めずとも争いは降りかかって来る、

<必然性>は思いがけなく生じ得るものです。 だから常に、

 

<力>を蓄え<意志>を明らかにしておかねば、、 

 

*   *

 

往年の大日本帝国もそれは相当にしておりました。 が、<力>を誤認

ないし過信し、<意志>がジコチュウ、それらを自尊心先行で発揮した

結果、どう見ても勝ち目の無いあの戦争を始めることになり、

 

果たせるかなコテンパンにやられてしまいました。 即ち大東亜戦争は

大失敗の連続。 それについては(畑村教授の著作群に遙か先立って)

回顧や反省や原因の究明、無数の本が出されております。 その一つ、

 

<失敗の本質>(ダイヤモンド社 昭和59年)は「今日の平和と繁栄

を維持していくうえで、、、戦争遂行の過程に露呈された日本軍の失敗

を問い直すこと」が重要、と考えた6人の執筆者の共著です。

 

「そもそも軍隊とは、近代的組織、すなわち合理的・階層的官僚制組織

の最も代表的なものである。 (が、)日本軍には本来の合理的組織と

なじまない特性があり、それが組織的欠陥となって、、、失敗を導いた。

 

、、、問題は、、、物量的劣勢のもとで非現実的かつ無理な作戦を敢行

せしめた組織的欠陥にこそある、、、(にも拘わらず、それが)戦後の

日本の組織一般のなかにおおむね無批判のまま継承された、、」 (p.4)

 

そこに気付きましょう、改めましょう、、の、いわば憂国の情で大東亜

戦争の中から六つの作戦失敗例を取り上げ、現代の組織論や意思決定論

にも重ね合わせて<失敗の本質>をえぐり出した警世の書です。

 

が、その後たちまち著者たちの危惧は現実化し、<失われた10年>や

<第二の敗戦>。 我々の<学ばない体質>が証明されてしまいました。

やはり畑村教授ご指摘の通り、

 

「同じ人々、同じ仕組み、同じ体質ならまたやる。 それが文化、、」

なんですな。 こういうユーウツな本も読んで、トップが考え方を改め

れば<ニッポンの再生>も可能でしょうが、、 自滅あるのみ、かな?

 

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●<六つの失敗例>にはそれぞれ

 

副題があって、たとえば第一番目<ノモンハン事件>は<失敗の序曲>。

<序曲>は<物事の始まりの部分>という比喩的な意味で用いられたの

でしょうが、私は<音楽的>解釈。

 

即ちオペラの<序曲>は、いわば全編の梗概。 各部分の主たる旋律を

一つに綴り合わせたもの、ですから、よく聴けばおおまかな筋が読める。

 

実際この<事件>には、その後の<失敗>に通じる基本要素がおおかた

盛り込まれておりました。 だからこの事件を謙虚に吟味し、その教訓

を現実へフィードバックしていたら、、

 

大東亜戦争(より2年も前だったのだから)自体を起こさず、別の手段

を選択し得たのではないか、とすら思われます。 が、あいにく謙虚で

なかったから、正しく吟味しない、ましてフィードバックなどしない、、

 

前号末尾の記述通り、「失敗は大失敗のもと」になりました。

 

 

各ケース最初頁には数行の要旨が示されており、この<事件>のは、

 

 「作戦目的があいまいであり、中央と現地とのコミュニケーションが

 有効に機能しなかった。 情報に関しても、その受容や解釈に独善性

 が見られ、戦闘では過度に精神主義が誇張された。」 

 

目的不明確、コミュニケーション不全、情報の活用不十分、精神主義、、

で大東亜戦争を始めることになり、で負けた。 (それに学ばず、その

後の経済戦争でも同様にして負け、今なお後塵を拝し続けている、、)

 

国境紛争的<関東軍の火遊び>が日本軍初体験の近代戦に発展し、結果

は初体験的大敗北。 それが国民に<隠蔽>されたところも<その後>

から<今>に至るまで変わらない、、 こりゃ体質ですな。

 

「満州国支配機関としての関東軍は、その機能をよく果たし、またその

目的のためには高度に進化した組織であった。 しかし、、戦闘という

軍隊本来の任務に直面し、、まったく新しい環境に置かれたとき、関東

軍の首脳部は混乱し、方向を見失って自壊作用を起こした、、」(p.38)

 

<本来の任務>を怠り、肝心の場面では<混乱>、、なんていう組織や

おエラ、今もそこら中でしょ?  まさに体質、ですな。

 

 

第二番目はあの致命的<ミッドウェー作戦>、副題<海戦のターニング・

ポイント>。 これが開戦僅か半年後。 そのあと3年余、よく保った

ものだが、もしデタラメ<大本営発表>や新聞の提灯記事に鼓舞されて、、

だったとすると、こりゃやはり<言霊の幸ふ国>。 要旨にいわく、

 

 「作戦目的の二重性や部隊編成の複雑性などの要因のほか、日本軍の

 失敗の重大なポイントになったのは、不測の事態が発生した時、それ

 に瞬時に有効かつ適切に反応できたか否か、であった。」

 

PPAはシミュレーション、それが昔から欠けた国。 今も、欲張って

は手を広げすぎ、考えすぎてはチーム編成を難しくしてしまう。 謳い

文句は豪華、でも現実はハプニング連続、、 という具合。 ところが、

 

根拠明確な行動基準が無いから、アチラを立てるか、それともコチラか、、

で、時機を失して虻蜂取らず。 じゃ、成果を挙げたように言い繕うか、

いっそ隠蔽してしまうか、、 体質だから、ねえ、、

 

*   *

 

第三番目は<ミッドウェー>直後の<ガダルカナル作戦>、副題<陸戦

のターニング・ポイント>。 勝手に付け加えて<ロジスティック無き

陸軍部隊の悲劇>。 略称<ガ島>はかつて<餓島>と自嘲されました。

 

要旨、「失敗の原因は情報の貧困と戦力の逐次投入、それに米軍の水陸

両用作戦に有効に対処し得なかったからである。 日本の陸軍と海軍は

バラバラの状態で戦った。」

 

4ヶ月余の間に陸軍は将兵2万以上、海軍も艦艇60、航空機850を

失うという激戦だったが、大本営首脳部は実情の把握を怠り、第一線の

提案や要請を拒否し続けた。 学びたくなかった、らしい。

 

今日の経済戦争でも同様、正確な状況把握を怠り、経営資源を小出しに

注ぎ込みつつ泥沼に沈んで行く、、 という体質。

 

*   *   *

 

第四は<インパール作戦>、副題は<賭の失敗>。 要旨によれば、

 

 「しなくてもよかった作戦。 戦略的合理性を欠いたこの作戦がなぜ

 実施されるに至ったのか。 作戦計画の決定過程に焦点をあて、人間

 関係を過度に重視する情緒主義や、強烈な個人の突出を許容するシス

 テムを明らかにする」

 

しかけて4ヶ月、投入10万が戦死3万、戦傷2万、残り5万も半分は

病人、、で何も得られずに終わったこの作戦は、「特異な使命感に燃え、

部下の異論を抑えつけ、上級司令部の幕僚の意見には従わない」牟田口

司令官の個人的性格に発し、

 

失敗が歴然となってからも、<人情>本位、人間関係重視、組織内融和

優先など、陸軍の<文化>によって意味無く引き延ばされ傷を深くした。

どこ見てんだ? 敵は<外>にいるんだぜ、、

 

MUST、WANT が明らかでなく練り上げも不十分な案をPPA抜きで実施

すりゃ、失敗しない方が不思議。 戦争もビジネスも、<上>が仲良し

クラブやってちゃ、ね。 そんな組織ほど<下>には冷たいんだから、、

 

 北支派遣軍司令部付き兵長だった元我が相棒N氏の回顧:「敗戦!と

 なった時、師団長閣下の第一声、何だったと思う? 『ワシの恩給は

 どうなるんじゃ?』だったんだぜ。 ガックリ来たよ、全く、、」

 

特に<体質>が良くないのが<上>にいる国、、

 

*   *   *   *

 

第五<レイテ海戦>は、<自己認識の失敗>。 即ち、

 

 「<日本的>精緻をこらしたきわめて独創的な作戦計画のもとに実施

 されたが、参加部隊(艦隊)がその任務を十分把握しないまま作戦に

 突入し、統一指揮不在のもとに作戦は失敗に帰した、、」

 

「世界の海戦史上でも特筆すべき最大級規模」の決戦だったが、広大な

海域に日本海軍の総力を投入し、勝算低い捨て身の案を実施するには

 

「時間的、空間的、機能的に、複雑で多様性に満ちた戦略的対応が、、」

有機的に整合一貫して行なわれる必要があった。 にも拘わらず各部隊、

 

作戦目的や担当任務の認識が正確でなく、また作戦策定後に生じた重大

な状況変化を織り込まずに既定方針通り実施するという無謀が冒された。 

 

加えて通信機能の障害で四つの艦隊が不正確な情報や誤報に何度も振り

回され、、となって勝ち目は無かった。 まるで失敗のための失敗、、、

 

でした。 が今も、異を唱えることを許さない<空気>、破滅的な着想、

不確定な目標、バラバラな実行、、 そんな体質の会社、ありますねえ、、

 

*   *   *   *   *

 

第六<沖縄戦>は、<終局段階での失敗>。 「相変わらず作戦目的は

あいまいで、米軍の本土上陸を引き延ばすための戦略持久か航空決戦か

の間を揺れ動いた。 とくに注目されるのは、大本営と沖縄の現地軍に

みられた認識のズレや意思の不統一であった。」

 

浮き足だった軍隊に求めても始まらないが、ここまで来ても「何のため

に何をする」が定まってない。 上部の指導に一本化すべきなら万全に

第一線を支援すべし、第一線の判断に任せるなら余計な注文は付けるな、

 

そしてそのいずれにおいても、上部は各部署の機能を整合させなくては

ならない、、 まるで企業経営そのものですが、日本軍は最後までダメ

でした。 それが体質、我が文化、、

 

****************

 

 

 

●約20年前、日本経済が

 

これほど落ち込んでいなかった時、「将来、危機的状況に迫られた場合、、

現代日本の組織一般が、、大東亜戦争で日本軍が露呈した組織的欠陥を

再び表面化させないという保証はない」として書かれたこの本、

 

いま読み直していっそう痛切です。 我々が<失敗に学ぶ>体質でない

こと、あまりに明らかなので。 最初のケース<ノモンハン事件>には

 

戦闘で連隊長、部隊長を失っただけでなく、生き残った者に自決を強要

までして、貴重な体験を次に生かすことを敢えてしなかった、とある。

 

これを<中高年のリストラ>に結びつけるつもりはありませんが、ただ、

貴重な体験をした人材にすら学ばないほど<学びたがらない体質>なの

ではないか、くらいには恐れます。

 

 

失敗したくなかったら用心すること。 用心とは文字通り、心を用いる

こと、即ち頭を使うこと、つまり考えること。 やたら考えても「休む

に似たり」、Rational に考える方が宜しい。 たとえば、

 

DA、PPAを正しく行なえば、<日本軍>にならずに済む。 それで

も<失敗>? ならPAで、おおまか迅速に原因を突き止めましょう。

そうすれば、次のDAはずっと良くなります。 また、

 

一つの失敗から思いがけなく沢山の課題が生じてアタマが一杯、、 と

いう場合には慌てずSA。 優先度を見定めて One by One 、、

 

シートに整理して目を凝らせば、、 ほら、重点が浮かび上がるでしょ。

それでも???なら、、 迷わず「おたすけマン」へe−メール!

 

この反復でなら、<体質>は必ず改善できますよ。

                          ■竹島元一■

     ■今週の<私の写真集から>は、 ★UFO★

 

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